バリバリ横浜の雰囲気を醸し出している歌。歌詞からして舞台は…あの場所じゃないだろうか、と言う心当たりがある。あの場所って言うのは勿論、港の見える丘公園。
その場所での思い出が私の脳裏に鮮明に甦る。
あれは高校二年の冬。まだ年明けて間もない頃だった。某所で行なわれた数学試験の帰り、私は夕暮れのその場所へ行った。あくまで興味本位で一人だった。
そこである少年に遭遇した。背後から「馨さん」と私を呼ぶ声に振り返ると長身の同期生の少年が笑顔で立っていた。驚いたまま横に目を向けると小柄な少女がいた。彼女が何者かは私でも察しが付いた。彼女は私を凄い勢いで睨み付けていたのだ。
彼と私は何の話をするでもなく、軽い挨拶程度で別れた。しかし、彼女はしばらく私を睨んでいた。その視線が怖くて二人を見れなかった私だが、矢張り好奇心に駆られて二人の方を見た。海の見える通りの格子にもたれた彼の夕日を浴びた横顔はどこか侘しげで違和感を覚えた。一方の少女の様子も楽しそうとは思えなかった。
後で聞いたのだが彼らは別れたのだ。
恐らく別れたのはあの時だっただろう。
この歌を聴くとあの日見た彼の顔を思い出す──。
これはオフコース時代のギターイントロもまた素敵である。